■ 業界としての「ローコストオペレーションの確立」に向けて。 ナシオのe-お菓子ねっとの活用と今後の展望。 |
現在、ナシオは、e-お菓子ねっとを通じて、1日約5,000件の発注データを処理し、EDI化率は約80%に達している。受発注データが中心であるが、入庫予定データをもっと活用できるのではないかと、情報システム部部長・飛田氏は語る。 「われわれ卸と小売様との間では、入庫予定データと物流ラベルをきっちりとひもづけて、事前にこれだけ納めますよという情報をキャッチボールしています。伝票レスや物流センターの作業効率化が図れるわけです。また、メーカー様との間ではe-お菓子ねっとの入庫予定データを使うことになるのですが、対応いただけるメーカー様の数も含めて、まだまだ効果を引き出せると感じております」 |
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また、業界として足並みをそろえるという点では「賞味期限」も見逃せないと語る。
「入荷データの項目に『賞味期限』というものがあるんですが、これがメーカー様のほうであまり対応いただけていないんですね。この賞味期限に関しては小売様、さらにその向こうにおられる消費者の方々が、当然鮮度をとても気にされるわけです。もちろん、この鮮度管理は、われわれ卸と小売様との間でできることではありますが、かなりの労力を必要とすることは確かです。ですから、メーカー様のほうでもデータを出していただけるよう取り組んでいただけると非常に助かります。せっかくe-お菓子ねっととして、メーカー様、卸と集まっているわけですから、足並みをそろえる感じで、そこを整備していけるといいですね」 |
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現在、ナシオは、倉庫の管理や商品の配送、搬送等といった物流の機能をすべて委託先にアウトソーシングしている。それは“物を運ぶ”のではなく“情報を運ぶ”卸としてのナシオを鮮明に印象づけているのだが、そうした立場から、ナシオはe-お菓子ねっとをどう見ているのだろうか。 「e-お菓子ねっととして、EDI化率をさらに向上させるという、横に広げていくアプローチとともに、もっと深く掘り下げていくという方向性もあると思います。たとえば、卸とメーカー様で対になって、入庫予定データをお渡ししたら、必ず受領確定データをお返しするように進めていくとかですね。おたがいの伝票をなくしましょうという、100%の伝票レスを業界として目指しましょうということになりますと、当然作業のロスが減り、省力化に向かいますから、おたがいのコストメリットも出せるのではないでしょうか。e-お菓子ねっとを使うことで、業界全体が、そうしたローコストオペレーションを確立できるようになるといいですよね」 コストを下げて、品質を上げる。そして、業界全体としてグローバルでの競争力をつけていく。具体的には、それはロスをなくしていくための取り組みに他ならないと飛田氏は語る。 |
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ナシオは昨年創業100周年を迎えたが、その記念式典は今年開催の運びとなった。もちろん、東日本大震災の影響を鑑(かんが)みてのことである。未曾有の災害に際し、耐震・免震といった災害対策やシステムの二重化がなされているe-お菓子ねっとにトラブルが発生することもなく、またナシオの自社システムがダウンすることもなかったが、一部の通信障害などは発生しており、システムの安定稼働について考えさせられることが多かったと飛田氏はいう。 「今はもうインフラとしてのe-お菓子ねっとが当たり前になって、その便利さも当然のように享受しているわけですが、逆にいうと、もしそれがなくなると、どうなってしまうんだということですね。こうしたリスクに関しても、業界としての対処方法などを考える必要があるのではないでしょうか」 |
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