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活用事例
“物を運ぶ問屋”から“情報を運ぶ卸”へ“物を運ぶ問屋”から“情報を運ぶ卸”へと転換を図り、現在では企画の立案や商品開発など、小売業への販売支援を主な業務としている株式会社ナシオ(以下ナシオ)。
創業100年を越える老舗でありながら、早い時期からの積極的なITの導入や、物流の完全アウトソーシング化など、菓子卸売業の最前線を走る企業としても知られている。今回、そうした注目企業であるナシオが、e-お菓子ねっとをどのように活用しているのかについて取材を行った。(2012.03.08)

物流から商流へ。ナシオの進化を支えたITの変遷およびITインフラ構成。
今年創業101年目を迎えるナシオは、1911(明治44)年に北海道・北見で開業。やがて札幌に進出し、北海道トップの菓子卸としての地位を確立した。さらに現在では、仙台(東北)・東京(首都圏)・名古屋(中部東海)・大阪(関西)・広島(中四国)・福岡(九州)と主要都市に支店を開設し、全国規模での展開を図っている。この成長を支えてきたのが、ナシオが早い時期から取り組んできたIT化である。すでに1970年代に業界の先陣を切ってコンピューターシステムを本格導入するなど自らの競争力を強化するとともに、その後もシステムのダウンサイジング化をはじめ、的確なIT戦略を推進してきた。ナシオのIT化の変遷について、情報システム部部長・飛田氏は次のように語る。
「拠点展開を支えてきたシステムは、最初は各拠点で単体処理を行っていましたが、1998年にクライアントサーバーの分散処理型システムの構築に着手しました。そして2004年にはクライアントサーバーの集中処理型へと移行、その際はサーバーを各拠点に置かずに集中して本社に置いていました。一応、メインとバックアップのサーバーを置きましたが、危機管理の面で2010年からはデータセンターに集約しています。ですから、今拠点にあるのは全部クライアントだけということになります」
システム構成だけに限らず、ナシオのIT戦略は、メール環境にクラウドコンピューティングを導入して営業支援を行うなど常に積極的である。
「2010年、サーバーをハウジングでまとめようとしたときに、メール環境はクラウドにあったほうが、運用性からしてもコストという点からしてもよいと判断し、全部Google Appsに変えました。営業は出先でも連絡をとれて行動力がさらに増すとともに、ビデオチャットなどによる情報交換もできるため、お取引先様とのコミュニケーションがさらに活発になりました」
また、リテールサポートを推進するナシオでは、営業活動を工程で標準化した12工程管理システムにより、スタッフが営業活動に専念できるような支援体制も確立している。
「営業には本来やるべきリテールサポートやお客様との商談の時間を多くとってもらおうということです。そのための道具立てや環境整備は、われわれシステム部門が行うと。私たちは卸の会社ですが、あくまでも営業会社なので、基本は営業につながる仕組みを構築するということになります」
IT変遷図
IT変遷図
インフラ&ネットワーク図
インフラ&ネットワーク図
古くからのスタイルを変えることを厭(いと)わずに、業界に先駆けてITを推進し、自らを改革していく。ナシオはそうした企業文化を持つだけに、e-お菓子ねっとの導入もとても早かった。
「導入の時期そのものは、ほとんど立ち上げと同時に手を挙げさせていただいています。その目的は、やはり省力化と正確性ですね。実は、このe-お菓子ねっとの導入には下地がありまして、菓子、食品、酒、日用雑貨、医薬品などを扱う北海道の卸が集まって、『ヘリオス』という地域VANを設立しております。各小売様からはハンディターミナルを使って、VANセンターに発注データを集め、各卸に割り振るというものです。小売様からすると1種類の発注端末で、発注作業が完了しますし、われわれ卸のほうにも電話もファクスも来ないため、スムーズに受注処理ができるというメリットが生じます。そうした経験があるから、e-お菓子ねっとの趣旨に賛同して、早い時期からの参画となったわけです」
業界としての「ローコストオペレーションの確立」に向けて。
  ナシオのe-お菓子ねっとの活用と今後の展望。
現在、ナシオは、e-お菓子ねっとを通じて、1日約5,000件の発注データを処理し、EDI化率は約80%に達している。受発注データが中心であるが、入庫予定データをもっと活用できるのではないかと、情報システム部部長・飛田氏は語る。
「われわれ卸と小売様との間では、入庫予定データと物流ラベルをきっちりとひもづけて、事前にこれだけ納めますよという情報をキャッチボールしています。伝票レスや物流センターの作業効率化が図れるわけです。また、メーカー様との間ではe-お菓子ねっとの入庫予定データを使うことになるのですが、対応いただけるメーカー様の数も含めて、まだまだ効果を引き出せると感じております」
また、業界として足並みをそろえるという点では「賞味期限」も見逃せないと語る。 「入荷データの項目に『賞味期限』というものがあるんですが、これがメーカー様のほうであまり対応いただけていないんですね。この賞味期限に関しては小売様、さらにその向こうにおられる消費者の方々が、当然鮮度をとても気にされるわけです。もちろん、この鮮度管理は、われわれ卸と小売様との間でできることではありますが、かなりの労力を必要とすることは確かです。ですから、メーカー様のほうでもデータを出していただけるよう取り組んでいただけると非常に助かります。せっかくe-お菓子ねっととして、メーカー様、卸と集まっているわけですから、足並みをそろえる感じで、そこを整備していけるといいですね」
現在、ナシオは、倉庫の管理や商品の配送、搬送等といった物流の機能をすべて委託先にアウトソーシングしている。それは“物を運ぶ”のではなく“情報を運ぶ”卸としてのナシオを鮮明に印象づけているのだが、そうした立場から、ナシオはe-お菓子ねっとをどう見ているのだろうか。
「e-お菓子ねっととして、EDI化率をさらに向上させるという、横に広げていくアプローチとともに、もっと深く掘り下げていくという方向性もあると思います。たとえば、卸とメーカー様で対になって、入庫予定データをお渡ししたら、必ず受領確定データをお返しするように進めていくとかですね。おたがいの伝票をなくしましょうという、100%の伝票レスを業界として目指しましょうということになりますと、当然作業のロスが減り、省力化に向かいますから、おたがいのコストメリットも出せるのではないでしょうか。e-お菓子ねっとを使うことで、業界全体が、そうしたローコストオペレーションを確立できるようになるといいですよね」
コストを下げて、品質を上げる。そして、業界全体としてグローバルでの競争力をつけていく。具体的には、それはロスをなくしていくための取り組みに他ならないと飛田氏は語る。
ナシオは昨年創業100周年を迎えたが、その記念式典は今年開催の運びとなった。もちろん、東日本大震災の影響を鑑(かんが)みてのことである。未曾有の災害に際し、耐震・免震といった災害対策やシステムの二重化がなされているe-お菓子ねっとにトラブルが発生することもなく、またナシオの自社システムがダウンすることもなかったが、一部の通信障害などは発生しており、システムの安定稼働について考えさせられることが多かったと飛田氏はいう。
「今はもうインフラとしてのe-お菓子ねっとが当たり前になって、その便利さも当然のように享受しているわけですが、逆にいうと、もしそれがなくなると、どうなってしまうんだということですね。こうしたリスクに関しても、業界としての対処方法などを考える必要があるのではないでしょうか」
 また、今回の震災で自分たちが扱っている“お菓子”が持っている力についても考えさせられたと語る。
「被災された方々がお菓子を口にして、『甘い物が食べられて、少しほっとした』と語っていらっしゃいました。今回なども確かにまず優先すべきは食料品の供給でしょう。でも、お菓子は加熱する必要もないし、そのまま口にしていただけるし、癒しの効果もある。たとえ有事が起きても、きちんと物をお届けするのは、菓子業界としての使命であると感じました。もちろん、そのためにも業界自体が誇りを持って、いろいろなことに取り組んでいくべきだと思います」
梶ケ野様
情報システム部部長
飛田 一男様
株式会社ナシオ
住所 北海道札幌市西区八軒9条西10丁目448番地9
電話 011-642-5155(代)
資本金 5,683万円
売上高 349億7,500万円(平成23年5月期)
     
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