丸彦製菓株式会社

1927年(昭和2年)の創業以来、日本の伝統的な味わいを大切に守り続けてきた丸彦製菓株式会社。長年にわたり、素材へのこだわりと丁寧なものづくりを通して、世代を超えて愛されるお菓子を届けてきました。本社社屋1階には製造直売所が併設されており、訪れた方は試食を楽しみながら、日光観光のお土産やご自身のお気に入りの商品を選ぶことができます。地域に根差した菓子メーカーとして、《e-お菓子ねっと》導入の背景や今後の期待についてお話を伺いました。(2025.9.2)
一粒一粒に心を込めて、「食」による健康維持と喜びを提供する
インタビューにお答えいただいたのは、丸彦製菓株式会社の代表取締役社長の山田 邦彦氏と営業本部長の諸節 隆晴氏、営業部営業管理課の千葉 鉄平氏と業務課の八木澤 和稔氏。
「丸彦製菓株式会社」のご紹介

インタビューにお答えくださった丸彦製菓の皆様
(左から 八木澤氏、山田社長、諸節氏、千葉氏)
弊社は、祖父の代から米菓の将来性に着目し、日本伝統の味にこだわり続けてまいりました。宇都宮から世界遺産にも選ばれた日光の地に工場を構え、米菓の魅力を広く発信しています。
「匠の心」は、国産米100%へのこだわりから生まれた、丸彦製菓のものづくりの原点です。米が不足した時代にも国産米を大切に守り続け、もち米を使用した「おかきづくり」を軸に挑戦してきました。機械の力と人の手をうまく組み合わせた独自の製造工程で、丁寧さと品質を両立し、他にはない味わいを目指しています。

また、おかきの原料には、お米だけでなく海苔や昆布などの海の恵みも使われていて、地球温暖化の影響も無関係ではありません。だからこそ、私たちは生産の過程で出るロスをできるだけ無駄にせず、原材料の残りは家畜の飼料として活用したり、包装資材も可能な限りリサイクルしたりと、自然の恵みに感謝しながら、環境への負担を減らす工夫を日々積み重ねています。
業務効率化を支える《e-お菓子ねっと》の導入と活用
《e-お菓子ねっと》導入の背景とV2へのアップデート
《e-お菓子ねっと》の導入は、前身の菓子流通VANがスタートした1990年にさかのぼります。私が入社する前のことなので詳しい経緯はわかりませんが、おそらく卸様などのご要望に応える形で、業務の効率化を目指して導入されたのだと考えています。
このシステムを使うことで、これまで時間がかかっていた手入力作業が自動でデータを取り込めるようになり、入力ミスもほとんどなくなりました。さらに、作業が瞬時に完了するようになったのも大きなメリットです。

営業部営業管理課 千葉氏
2024年1月には、社内システムの切り替えに伴い《e-お菓子ねっと》もV1からV2へと移行しました。データ1明細あたりの費用が抑えられ、ランニングコストの削減にもつながっています。V2では新しい項目が追加されましたが、現在は、社内マスターとの照合の関係でまだ活用できていません。それでも、今後はお取引先様の多様なご要望に、より柔軟に対応できる可能性が広がっていると感じています。
受注業務における《e-お菓子ねっと》の活用状況
弊社の受注方法には、大きく分けて2つのパターンがあります。ひとつは《e-お菓子ねっと》を通じたデータ取り込み、もうひとつは電話・メール・ファックスでいただいたご注文を、基幹システムへ手入力する方法です。現在では、全体の65%が《e-お菓子ねっと》経由となっており、ほかの受注サービスは利用していません。
中規模の卸様の中には、独自のシステムを使って発注されるケースも多く、専用のフォーマットでご注文いただき、それに対して発注書を返信することもあります。一方で、小規模の卸様では、システム化そのものが難しい場合もあるようです。弊社としては、《e-お菓子ねっと》をご活用いただけると業務の効率化につながると考えていますが、こちらから積極的にご案内することはしておらず、卸様のご事情に合わせた対応を心がけています。
《e-お菓子ねっと》導入に伴う業務改善と課題への対応
〈入庫予定データ〉導入とシステム改修の取り組み

業務課の八木澤氏
2024年7月に〈入庫予定データ〉の利用申し込みを行い、システムの構築と確認を進めています。いくつかの課題が見つかり、改修が必要であることがわかりました。
現在のシステムから出力されたデータが、そのままの形式では《e-お菓子ねっと》に取り込めないことです。こちらは、変換ソフトを活用することで、対応可能であることが分かりました。
今後、取り進めを行うにあたっては、データ形式の違いによって不具合が生じる可能性がある点と、その対応のための改修費用がかかる点は注意が必要です。
また、《e-お菓子ねっと》以外のFAXなどによるご注文もあわせて表示しなければならない場合、現システムでは手入力が必要な部分もあり対応が難しい状況です。
請求・支払い業務の現状と効率化への工夫
請求・支払いに関しては、現在のところ《e-お菓子ねっと》は利用しておらず、請求書発行クラウドサービスに対応している卸様はデータをダウンロードしてご利用いただいています。一方で、従来どおりの請求書を郵送しているお取引先もかなり残っており、まだまだ紙での対応も多く残っています。
以前は、請求書の発送に月3日ほどかかっていた印象がありますが、現在では少しずつ効率化が進み、1.5日ほどで対応できるようになってきました。劇的な短縮とは言えませんが、着実に改善されています。
また、販促金のご請求については、基本的にご請求いただく形ではなく、売掛金との相殺で対応しています。卸様から明細をいただき、弊社の営業担当者が内容を確認。もし差異があれば、卸様の営業ご担当者に確認のうえ、翌月に修正対応を行っています。
業界全体の標準化に向けた《e-お菓子ねっと》への期待
情報共有の課題と導入判断の難しさ
ペーパーレス化は、今や社会的ニーズでもあり、将来的にはそれが標準になると考えています。そうした流れの中で《e-お菓子ねっと》の導入は、非常に前向きな取り組みだと感じています。
ただ、新しいデータ種を導入する際には、システム改修にかかる費用と、それによって得られるメリットのバランスが見えないと、なかなか判断が難しいのも事実です。メリットの一覧や各卸様の対応状況が見える形になればより検討しやすくなります。
ウェブサイトには、加入企業情報が掲載されているため、お取引先の対応状況はある程度把握できますが、費用面が公開されていないため検討が難しいこともあり、導入の判断材料としては少し不足している印象です。またサイト内検索もやや使いづらく感じることがあります。
今後の展望と業務改善への期待

専務取締役 兼 営業本部長の諸節氏
導入に際しての個別企業に対応したシステム改修が必要となりますと、導入コストがかさんでしまいます。今後、卸様共通の仕組みが整えば、導入コストが抑えられ、人件費削減など、多くのメリットが期待できると考えています。
企業情報

丸彦製菓株式会社
-
住所 栃木県日光市芹沼1989-1
資本金 3,900万円
